開発経緯と「合同会社かんたん企画」について
開発ストーリー
「かんたん支援記録カンタン支援計画」は、長野県上田市にある「一般社団法人ミチシルベ」が運営している、就労継続支援B型事業所「キミノタネ」の支援業務改善を目的とした自社開発プロジェクトとして、国内外の大手企業・中小企業のウェブサイト構築、インターネットを活用した業務システム ( 光学機器メーカーの世界規模でのリソース共有システム・不動産情報の運営管理システム・通販サイト構築・情報ポータルサイト構築など )、一般デザイン業務などを手がけている開発リーダー ( 外部指導員 : 現かんたん企画代表 ) の元で開発をスタートしました。
当初は約1年間ほど、「キミノタネ」での現場の意見を取り入れながら「利用しては改善、利用しては改善」というサイクルを繰り返していきました。その中で、
- 支援目標に対する意識や、詳細な支援経過に対する意識の変化により、支援の質が大きく向上。
- 支援記録や個別支援計画の情報共有と同時に、議事録や伝達事項などの情報も全員がいつでも閲覧できるようになったことで、ミーティングにかかる時間を大幅に減らせた。
- パートタイム職員にも情報がもれなく伝えられることで、効率的な申し送りとワークシェアリングができた。
などの大きな効果を得ることができ、全フルタイム職員の就業時間自体を1時間縮めることにも成功しました。
「キミノタネ」は職員数名の小さな事業所ですが、このような少人数でも「効果的な情報共有がどこでも当たり前に出来て、必要な時に、必要な情報をすぐに活用できる環境」は、福祉支援の現場において、想像以上に重要であるということを痛感させられました。
そして、活用できる実感が持てたことで、ケース記録の位置付けは「義務的に書かなければならないもの」から「事業価値を高めていくための情報資産」へと、日に日に変わっていきました。
ここで実感の得られた、これらのベネフィットを、
- 「同じ志を持つ、全国の福祉事業所の皆様に届ける」ためのWebサービス化と、
- 「どんな規模の事業所でも、コスト以上の効果を見込める」ような利用料金設定で届けたい!
という想いの下、2018年よりクラウド型のケース記録システムとして発展させたものが、この「かんたん支援記録カンタン支援計画」です。
そして、そのベネフィットが「より良い支援」として利用者様へと届けられ、最終的に社会全体に「多様性・包括性・公平性の向上」といった価値として伝わっていくことを願っています。
「本気の支援」を「本気で支援」するために、新会社を設立しました。
「かんたん支援記録カンタン支援計画」は、2022年2月まで「一般社団法人ミチシルベ」の一部門として運営してきました。大変ありがたいことに、とても多くの福祉事業所様にご利用頂き、全国の多種多様な福祉事業所の皆さまから、たくさんのご意見や感謝のお言葉も頂戴し、皆さまのお役に立てることの喜びと、社会的責任の大きさとを噛みしめながら今日まで歩んでまいりました。
そして、2022年3月、福祉事業所で働く皆様にとって、これまで以上に「支援効果を高められるサービス」を継続的に提供させて頂くためにも、新たに「合同会社かんたん企画」( 長野県上田市 / 資本金300万円 ) を設立し、集中して「かんたん支援記録カンタン支援計画」の開発・運用を行っていくこととなりました。
心の通った支援は人間にしか出来ません。その時・その状況で「何が本当に良い支援なのか」という最終的なアウトプットとしての言動は、一人ひとりの支援員が人として行うものです。 私達はこの「かんたん支援記録カンタン支援計画」を通じて、業務の効率化はもちろんですが、現場支援の「より良いサポート」を提供し続けていきます。
また、福祉事業所の社会資源としての価値は、規模の大きさによって変わるものではありません。 私達の目指す「事業の規模や、資本力に影響されることなく、全ての福祉事業に従事する皆様」が、「高品質なサービスを、わずかなコストで享受できる環境」を提供していくこと。
それは「全ての利用者様が、より良い支援を受けられる機会」の裾野を広げ、「より多様性を認め合える、よりインクルーシブな社会」へと歩みを進めていくために、私達が貢献できることの一つだと考えています。
大切にしているのは 「 IKIGAI 」 という価値
でも、私が事業を行っていく上で、もっとも大切にしていることは「効率化」や「対費用効果」ではありません。 いくら効率化できて、より大きな利益が出たとしても、そこに「充足感」や「幸福感」が伴わなければ、この事業の存在意義はないと思っています。
それぞれの立場で関わる、それぞれの個人が「充実感・納得感のある時間を過ごせるかどうか」ということ。 例えば、支援を行う側は「良い支援ができて嬉しい」と仕事を誇りに思え、支援を受ける側は「素晴らしい支援を受けられて良かった」と喜びを感じられる、そういう価値を創り出したいという想いが根底にあります。
正解のない問いである、人が人として「どう生きるか」ということを問い続けていく中で、(私も含め)各々の「仕事」や「生活」といった関わりのある時間の中に 「 IKIGAI ( 生きがい ) 」 を見出だせるような存在であること、一人ひとりに与えられた時間を「より豊かに過ごせた」と実感できるような存在であること、そんな「幸福度のものさし」で舵を取っていくことが、「効率」や「経済合理性」などよりも、ずっと大切な事だと考えています。
少し手間はかかるかもしれませんが、丁寧な記録を残し、それを最大限に活かせる環境は、「経営の資産」としてだけでなく、支援の両側に際するお互いの 「 IKIGAI 」 を創り出す種となり、慈しみ深く豊かに働き、暮らしていくための「心の資産」にもなりえるものと感じています。
現代のような「不確実性」の高い時代でも、本当に大切なことは普遍的なものです。これからも、これまで以上に、福祉事業所で働く皆様の「現場の声」に耳を傾けつつ、本質を見失うことなく、少しずつでも社会をより豊かな居場所にするためのお手伝いができればと願っています。