ケース記録(支援記録)の役割 : 今の時代の「ケース記録」に求められるべき要点とは?
福祉サービスを提供している事業所にとって、ケース記録(支援記録)を始めとする各種記録(サービス提供記録・介護記録・ケア記録・業務日報など)はサービスを提供したことの証拠書類としての意味合いもありますが、「いつどのような支援をしたのか」ということを確認し、支援の方向性を改善していくための「情報資産」でもあります。
人の「行動」の源流は「情報」にあり
日々の生活の中で意識することも少ないと思いますが、「人は常に『情報』を元に行動している」 という、忘れがちですが、忘れてはならない大切な事実があります。 人間は「五感」を通じてあらゆる物事を理解しているわけですが、それらの感覚器官を経て脳で受け取っているものも、全て「情報」ですので、私たちの生活の全てが「情報」を元に形作られているともいえます。
人類がIT技術を追求し、これだけ大きく発達してきた理由の背景には、単に利便性を高めたい、ということだけではなく、その「情報の質」が「行動の質」に直結するから、という点が大きな要因としてあります。
記録を電子化して運用していく上で、支援員として「ケース記録の具体的な書き方」をテクニカルに学ぶことも重要ですが、その前に「記録」は「情報」であり、その「情報」は行動(=支援)を決定するための「資産」である、ということをベースとして意識しておくことが、今のDX(デジタル・トランスフォーメーション)時代の「ケース記録のあり方」を考える上で大切だと思います。
情報資産活用TIPS : AIによる『要約とアドバイス』 機能で、蓄積された記録から様々な「注目ポイント」を抽出できます。 今後の支援や、個別支援計画の策定などにお役立て頂ければ幸いです。
数値化できない「サービスの価値」
福祉の仕事は「人と人との関わり」や「一人ひとりの人柄」など、数値では測れない要素の多い職種ですから、「デジタル技術を活用しても効果が薄いのでは?」と感じる方もいるかもしれません。
たしかに、単純に今までアナログだったものをデジタルで電子文書化するだけでは、「デジタルを使ったアナログ処理」をしているだけになってしまい、「お互いの生活 ( = 社会 ) を豊かにする」ようなデジタル活用法とは言えません。
支援の現場において、結果的には「支援者」が「行動」という形でアウトプットするわけですが、その行動の質を左右する「情報」がケース記録には蓄積されていきます。
蓄積された記録情報を、的確に素早く活用できる環境があれば、その情報は大きな資産となります。その「情報資産」を支援にフィードバックし、アウトプットとしての「行動」の質を高めていく。数値には出来ないような「あいまいなニュアンス」まで含めた、人間にしか出来ない「仕事」の質を高めていく。そんな大局的な視点を意識することが、DX時代の「ケース記録の書き方」においては大切ですし、データに振り回されずに、活用する側にしっかりと立つことが出来る環境が大切だと思います。
その視点をそれぞれの支援者が意識し、お互いに共有できていれば、ケース記録の書き方にも自ずと結果として反映され、そのことが事業所全体の支援の質を高めていく、という好循環が生まれてきます。
もちろん、ただ簡単に「記録が共有できる」「検索できる」ことだけでも大きな効果は望めますが、「かんたん支援記録カンタン支援計画」は、それ以上の価値を創出できるよう、常に心がけています。
よろしければ、より効果を上げるための具体的な活用例「支援記録と個別支援計画の連携によるPDCAサイクルの構築法」もご参考になさって下さい。
「今」という時代の「ケース記録のあり方」
福祉業界に限らず、全ての業種において「これからの仕事のあり方」を考えた時、アナログをデジタルに置き換える、という一昔前の発想ではなく、持っている情報をいかに活用すべきか、という「デジタルベースで物事を発想する」ことが求められている「今」の時代。
そんな時代の中で、複雑であいまいな「人」という存在を丁寧に支援していくのが「福祉の仕事」。 だからこそ、時と場合によって変化する「必要な情報」を「的確に素早く」活用できる支援環境を整え、時にあいまいなニュアンスをも含む「行動」の質を高めていく。それは「お互いの生活をより豊かにする」ために、IT技術が創り出すことのできる「大きな価値」であり、「技術」というものは、そのような方向へ向かって利用されるべきものだと思います。
ケース記録を始めとする、各種記録情報の持つ「今」の時代における存在意義・存在価値を意識して各々が記録を書いていくことで、それらが集まってきた時に、記録者ご本人にとってはもちろん、事業所全体にとっての大きな「資産」となり、「明日のより良い支援」、そして「明日のより良い社会」へと繋げていけるよう、私たちは「かんたん支援記録カンタン支援計画」を通してサポートしていきます。