F-SOAIP を用いて記録する場合の「かんたん支援記録カンタン支援計画」の活用例 : 項目ごとの経過分析や、ICTによる地域連携など。
ご存知の方も多いと思いますが、F-SOAIP は現代の代表的な記録手法のひとつです。 基礎となる枠組みは、記録フォーマットとして、「 F = 焦点・主題 」ごとに「 S = 利用者の主観情報 、 O = 支援者等の客観情報 、 A = 支援者の判断や解釈 、 I = 支援者による介入・実施内容 、P = 以降の支援での予定 」の各項目に分解・分類して記述していく、という点です。
- F = 焦点・主題 :
- 記録の対象としている具体的な場面や状況を簡潔に記入します。
- S = 利用者・キーパーソン(利用者側の主要人物)の主観情報 :
- 利用者やキーパーソンの言動を記入します。利用者以外の言動は、その続柄も ( ) を付けて記入しておきます。
- O = 支援者側の客観情報 :
- 支援者側の観察から得られた様子やバイタルの情報などを記入します。
- A = 支援者 ( 記入者本人 ) の判断や解釈 :
- 支援者本人が各情報から判断した内容や解釈を記入します。これが支援行動の根拠となります。
- I = 支援者による介入・実施内容 :
- 実際に行った「助言・声かけ」や「介助内容」などを記入します。
- P = 以降の支援での予定 :
- 今回できなかったこと等をはじめ、今後実施すべき支援の予定を記入します。
- 今回できなかったこと等をはじめ、今後実施すべき支援の予定を記入します。
記録する情報の全てを、このいずれかの項目に分類して記述していくため、多少のトレーニングが必要になるとは思いますが、その反面、全ての人物の全ての言動を、これらの項目のいずれかに「タグ付け ( =分類 ) 」することができますので、様々な状況を俯瞰的にスッキリとらえることができるのではないでしょうか。
書く時にも、読む時にも、要点が掴みやすくなるため、PDCAサイクルを駆動させやすくなり、フォーマットを理解していれば、様々な役割の支援関係者同士での状況把握もしやすいので、情報共有していく上でも有効な記法だと思います。
このページでは、「F-SOAIPの各項目ごとの記録分析」、「個別支援計画との連携」、「ICTによる地域連携」といった、F-SOAIP を用いて「かんたん支援記録カンタン支援計画」に記録を記入していく際に役立つテクニックをご紹介いたします。
各項目を記入しやすく、読みやすく、分析しやすくするために
F-SOAIP では、行の先頭に該当するアルファベットを記入します。
このアルファベット部分を、例えば S であれば「 #S 」と記入して「ハッシュタグ」化しておきます。

# を付けて一度記入しておくと、次回以降、記入時にハッシュタグとしてボタン化され、クリックでも記入できるようになると同時に、記入・閲覧時の視認性も向上します。
一般的な叙述式の記録として記入した後から、文中の適切な位置に、ボタンで各タグを挿入していく、という手順でも良いかと思います。

内容欄の上部にボタン化されたタグがリストアップされます
また、記録記入時には、上記のように、最新の個別支援計画に記入されているハッシュタグである「#目標キーワード」も表示されます。 支援内容に関わる「#目標キーワード」タグ ( 上記例では #生活スキル ) も一緒に追加しておくと、「各目標に対する経過」も追えるようになります。 [ 詳細 ]
記録用テンプレートとして登録しておく方法も
記録時に雛形が表示された状態から記入できる、各種テンプレート機能を使って、F-SOAIP のフォーマットをテンプレートとして登録しておく方法もあります。
ただ、F-SOAIP の場合、SOAI が順不同で、項目が複数あるようなケースも多いと思いますので、F , P のみをテンプレートに入れておき、上記のようにタグとして、行ごとに入れていく方が柔軟な運用ができるかもしれません。
ケースバイケースで、それぞれを使い分けて頂ければ幸いです。
生成AIによる、項目ごとの内容に注目した「要約とアドバイス」
F-SOAIP の各項目ごとに記録を追跡したい場合には、記録表示ページから、対象としたいハッシュタグをクリックすることで、対象タグが含まれる記録が抽出一覧され、タグが含まれている箇所がハイライトされますので、注目すべき箇所が一目でわかります。

さらに、このハイライトされている状態で、生成AIによる「要約とアドバイス」を実行すると、ハイライトされているタグを主軸においたAI解析ができます。 例えば #I ( = 介入・実施内容 ) タグがハイライトされていれば、#I の行に記入された各「介入内容」を軸とした「要点」や「注目点」などのAIによる解析結果を記録情報から得られます。 [ 詳細 ]
職種や組織を超えた情報共有で地域連携
また、F-SOAIP は記述方法が決まっていますので、多職種間での記録情報共有の際にも「必要な情報がどこに書かれているか」がすぐに分かるので理解がしやすい、という点も特徴です。
「かんたん支援記録カンタン支援計画」では、各関係者様ごとに「特定利用者の記録の閲覧」と、その各記録に対する「コメント」のみが可能な「関係者アカウント」を発行しておくことで、情報の共有がオンラインでスムーズに行えます。 [ 詳細 ]
必要な記録を、必要な支援者と共有でき、記録ごとにコメントを残してもらうこともできますので、各支援者同士が意見をコメントとして追加していけば、非同期での意見交換の場としても活用していただけます。
今回、ご紹介した内容以外にも、アイデア次第でたくさんの活用方法があると思いますので、記録情報をより支援にお役立て頂ければ嬉しく思います。
F-SOAIP の詳細につきましては、ウェブサイトや、書籍等をご参照ください。 記事を書くにあたって参考にさせて頂いたのは、こちらの書籍です。