ケース記録の目的・参考図書紹介『相談援助職の記録の書き方ー短時間で適切な内容を表現するテクニック』その1

日々、支援者の皆さんはケース記録を書く際に、どの観点で、どのように記述すべきかを考え、工夫を凝らしていることと思います。そこで、ここでは「ケース記録の書き方」の重要なポイントを押さえていきたいと思います。
参考にさせていただく本は、『相談援助職の記録の書き方―短時間で適切な内容を表現するテクニック』です。本書は、アメリカのカリフォルニア州で10年以上の経験を持つソーシャルワーカー、ケースワーカーである八木亜紀子さんによって執筆されました。八木さんは福島県立医科大学の特任准教授で、精神保健福祉士および公認心理師としても活躍しています。
ケース記録の書き方を正しく理解し、現場での支援力を向上させるためのポイントを押さえていきましょう。
支援員に求められるケース記録
ケース記録はそもそも誰のために、何のために書くのでしょうか?
福祉の支援は、目に見える商品とは違い、その内容や効果をはっきりと示すのが難しいサービスです。そのため、支援者がケース記録を書く目的は、「どんな支援を提供したのか」「なぜその支援を選んだのか」といった判断の背景を明らかにし、記録として残すことにあります。
ケース記録は、単なる備忘録ではなく、利用者さんに対してどのような支援がなされたか、またその選択の理由をチーム全体や第三者にも伝えられるように書くことが求められます。これは、チームで支援にあたる上で非常に重要な役割を果たします。
ケース記録の歴史的背景
観察記録からサービス提供の記録へ
対人援助や社会福祉のサービスが社会に広まり、定着する中で、支援を受ける側の期待も次第に高まってきました。それにともない、ケース記録の役割や内容も変化し、支援が「専門的な技能」として認識されるようになっていきました。
もともと記録は研究や教育のために残すものでしたが、1990年代半ば以降、特にアメリカではリスクマネジメントの手段としても注目され、その重要性がさらに高まっています。
病院における電子カルテ導入
アメリカの多くの病院では、ソーシャルワーカーが記録したケース記録も病院全体のデータベースに統合されています。これは「すべての記録が開示の対象となる」という前提があるためで、記録を別管理にすることで生じる説明や対応の手間の方が非効率だからです。
援助職が他の専門職と対等な立場で連携するには、記録の内容を検証可能にし、情報を共有していくことが、円滑なチーム支援の鍵になります。
クラウド型の「かんたん支援記録カンタン支援計画」は、パソコン・タブレット・スマホに対応しており、記録時にはテンプレートに沿ってポイントを押さえながら入力できます。記録後もハッシュタグの機能を使って、支援員同士での「効果的な情報共有」が簡単に行なえます。上手に活用して組織全体の支援力UPにつなげていきましょう。
