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ケース記録の書き方・参考図書紹介『相談援助職の記録の書き方‐短時間で適切な内容を表現するテクニック』その2


前回は記録というものについて書かれている著書、『相談援助職の記録の書き方-短時間で適切な内容を表現するテクニック』の内容を要約しながら、ケース記録の目的や歴史的な背景を要約してきました。
今回はその続きとして、支援者がどんな視座でケース記録を記入していくべきかということと、ケース記録に盛り込むべきポイントについての要約です。
ケース記録の書き方についてのより具体的な内容になるかと思います。


目次

援助職に求められる倫理的責任と法的義務

アメリカの援助職の免許は更新制であることがほとんどで、その継続教育には「倫理と法」を必須とする団体が増えています。それだけこのテーマの必要性が高まってきていることの表れと言えます。倫理とは、人として守るべき道、道徳、モラルのことですが、職業倫理は、特定の職業に就く人たちがその職務を遂行する上で共有する価値観のことを指します。援助職の場合、法律上課せられている義務と、クライアントを保護するという倫理的責任は時として拮抗します。以下にその例を挙げます。

例その1・「娘が言うことを聞かなくて、がまんできなくなりそうになる。」
こういう話を聞いたときに援助者としてクライアントから聞いた情報を秘匿するのか、それとも児童虐待として通報するべきなのか。
例その2・「会社のお金を着服したら罪悪感で眠れなくなった」
この場合も会社や警察にその内容を伝えるのか、クライアントから聞いた情報は開示せずに不眠についてだけ検討するのか。

こういった状況の中で最善の決定をするために検証すべきは、個人情報の保護と、クライアントまたは公共の安全確保になります。

個人情報保護と安全確保

日本では、平成17年に個人情報保護法が施行され、急速にプライバシー保護の意識が高まりました。アメリカに比べ、日本の援助職には情報開示と安全確保についてそこまで大きな責任は求められていないかもしれませんが、今後、援助職が作成した記録が、実際裁判の俎上に乗る可能性は増えることが予想されます。そうなる前に専門職として準備を始めることは極めて懸命な自衛手段と考えます。

記録に関するポイント

では次に、ケース記録に関するポイントとして、内容や、用語選択、記録の保管方法などについて要約していきます。

記録の内容・臨床的に必要かつ説明責任を果たすに十分な記録を作成しましょう。

ケース記録は援助職にとって唯一のサービス実施の証明になります。自分が提供したサービスが専門家として適切な内容のものであったことを残すには、記録しかありません。例えば他業種と連携したり、援助職同士で対応を依頼する場合は、それまでのサービス内容が共有されなければなりません。このような作業を速やかにし、チームアプローチを効果的に行うためにも、ケース記録には必要な情報が網羅されていることが最低条件になります。それと同時に、専門家として適切なサービスを提供したことを証明するのには、説明責任を果たすことにもつながります。例えば同じような問題を抱えたクライアントに対して、一人には3回の面接をし、もう一人には30回面接したとします。素人目には似たような問題であっても、援助職が専門家としてアセスメントを行った結果、所見が大きく異なることは珍しいことではありません。ただし、なぜ前者は3回で終了して、後者にはその10倍も時間を割いたのか、その判断の根拠を記録に残す必要があります。

記録の内容・危機介入について書きすぎないようにしましょう。

必要な情報をケース記録として残そうとする場合、問題になるのが危機介入などです。気がつけば普段の5、6倍の分量になってしまいかねません。しかしここで注意したいのが、書きすぎることの影響です。普段のケース記録が3、4行しか書かれていないのに、いきなり危機介入で何ページものケース記録が書かれていたら、「普段の記録はどうしてほとんどないの?」と思われても仕方ありません。普段のサービスが怠慢だと解釈されてしまうこともありえます。記録を書くことも、書かないことも、第三者からは等しく必要性が吟味された結果と受け止められるのです。必要な情報をいかにコンパクトに文字に残すか。高度な判断力が要求されるテクニックありますが、自衛のためにも身につける必要があります。

記録の内容・第三者に関する記載、家族介入の記入方法に十分注意しましょう。

援助職が陥りがちなのが、支援をしているのが誰だか分からなくなってしまうということです。例えば児童虐待のクライアントに関わっていて、ついつい親まで自分のクライアントと勘違いしてしまってあれこれ口出しし、挙げ句にクレームをつけられるということは少なくありません。このような場合に問題なのは、クライアントでない親への口出しはそれがいかに妥当であっても、おせっかいに過ぎないということです。そして専門知識のある専門家がかかわったからには、実は「単なるおせっかい」ではすまないということです。クライアントの記録に家族や友人、クライアントの職場の同僚のことまで書いてしまっていたとするならば、本来のクライアントが誰だかわからなくなってしまったと証明しているようなものであり、大きな問題になります。第三者に関して伝え聞いた情報であっても、文字にすることによって、書き手がお墨付きを与えたと取られうるということなのです。ですので基本的には、自分で確認できない情報は記録に書くべきではありません。

表現と用語選択・明確で具体的な表現をしましょう。

ケース記録作成の際には、心理的な内容は曖昧な表現になりがちですので避け、(記録は自分以外の人に読まれることを前提をしているので、)とにかくわかりやすく具体的な表現をすることが大事です。

表現と用語選択・専門用語、略語は避けましょう。

現象を具体的に文字化したほうが、第三者はもとよりクライアントにも理解されやすいため、ケース記録作成の際には専門用語は極力避けましょう。また誤解を避けるために、略語はできるだけ避けるよう日頃から心がけておくことが大事です。

表現と用語選択・名誉毀損を避けるために的確に表現しましょう。

書き手が意図しなくても、読み手によって受け止め方はさまざまであり、相手を傷つけることも往々にしてあります。ですので、ケース記録作成の際には物議を醸し出すような表現、用語選択を避け、伝えたいポイントだけを的確に表現するように注意しましょう。

記録の信頼性・タイムリーな記録作成をしましょう。

ケース記録は、援助職が残せる唯一のサービスの証拠です。しかしそうはいっても、記録そのものは脚色も改ざんすることも簡単です。そのためのポイントのひとつが、記録をタイムリーに残す、ということです。では、タイムリーとは何でしょうか。「timely」を辞書でひくと、「時宜を得た」と書かれています。少し難しい日本語ですが、つまりは、適切なタイミングでとか、申し分のないタイミングでという意味になります。つまり書き手が判断して、「ここだ」という時に文字化することが前提ということです。
例として、緊急事態が発生したときにリアルタイムに記録を残すと、どうしてもその記録の分量が膨大になり、重要なことを書く前に力尽きて時間切れとなってしまうこともあります。そうならないためには、緊急事態が収束したあとに、できるだけ早く記録することが必要になります。それまでの流れを自分の頭で整理した上で、必要な情報をポイントを押さえて記録することで、記録そのものの分量も抑えられ、記録に時間を取られることも少なくなります。それはつまり、援助職が専門家として判断し、サービス提供に必要な情報をもっとも効果的に記録に残すことが期待されているということになります。

一方手書きの場合は、ついつい記録を溜めてしまうことがあります。例えば、緊急対応があり就業時間を過ぎてしまい、とにかく帰れと言われ、書きそびれた記録がきっかけとなって、そのあと延々と記録が溜まっていってしまう。。。そういったこともあるかもしれません。しかし人間の記憶はいい加減なので、時間が経ってから、前のことを正確に記録するのは至難の業です。言うまでもないですが、記録はタイムリーに作成するべきです。そして、気づいた時に書けばいつの話でも書いて良いということではもちろんありません。

記録の信頼性・専門家らしい文書作成を心がけましょう。

あいまいなことや憶測は極力書かないで、どこまでが事実として確定していることで、どこからが自身の所見であるかが明確に区別できるような記録を作成することが重要です。援助職が扱う課題は、ともすればよもやま話、噂話の様になってしまいがちです。それは興味本位の文章では読み物としてはおもしろいかもしれませんが、専門家の活動記録としては不適切ですし、専門家自信が提供したサービスの質まで疑われてしまいかねません。それを肝に銘じて言葉を選びましょう。

記録の信頼性・真摯な姿勢で取り組みましょう。

これだけいろいろと注意することがあると、当然間違えて文字に残す事も出てきます。そういったときにぜひ気をつけたいが、誤りや失敗を率直に受け止め、真摯な姿勢で修正なり必要な手段を講じることの重要性です。援助職として信頼を失わないためにも、よいこともよくないことも端的に直截に記録することが望ましいということです。

記録へのアクセス・記録の保管方法を確立しましょう。

記録に関して、作成方法と同じかそれ以上に重要なのがそのアクセスの管理方法です。ここでいうアクセスとは、情報を閲覧したり入手したりすることで、つまり誰がその記録を見ることができるようにするかということを指します。個人情報取り扱い事業主に該当しない援助職が多いことを考えると、記録へのアクセスの管理方法を決めることによって、クライアントの信頼性を高めて効果的に支援できるようにする、ということが現実的かつ必要なことになります。

記録へのアクセス・情報開示の手順を確立しましょう。

記録に書かれている情報自体はクライアントの情報ですが、文字として記録に残した段階で、その記録は作成者の所属組織のものになります。場合によってはそこに書かれていることすべてをそのままクライントに見せることが本人の益にならないと専門家として判断することもありえます。そのため、専門家が知見に基づいて妥当とする情報開示の手段を決定し、それを前もってクライアントに説明し、同意を得ていればそれなりの時間的余裕をもって対応することが可能になるでしょう。その手段として情報開示請求の手続き、手順、運用を検討する際には、弁護士等法律の専門家に相談されることを強くお勧めします。

裏帳簿を残す危険性を理解しましょう。

メモ書きを残すなとは言いませんが、残す以上はメモではなく、公式な文書になりうることをまず認識することが必要です。ここで検証すべきは2つあります。
1点目・公式文書に残したくない、あるいは残せないような情報が本当に援助活動に必須かどうか。
2点目・援助職の仕事はその時目の前にある情報をもとに的確な判断を下すことで、クライアントの話を覚えておくことが仕事ではない。

問題はあくまでもクライアント自身が解決すべきもので、詳細をクライアントに語らせることで本人が問題の当事者であることを意識させ、解決に向けての自律性を高めることもできるのです。

ここまで、支援者がどんな視座でケース記録を記入していくべきかということと、ケース記録に盛り込むべきポイントについて要約してきました。
次回はアセスメントと支援計画→サービスの提供→サービスの継続と調整→スーパービジョン→サービス評価、関係者への説明責任、という枠組みでの『記録の果たす役割』を要約していきたいと思います。お楽しみに。

掲載日 : 2020年8月20日 / 更新日 : 2020年8月20日

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