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ケース記録の書き方・参考図書紹介『相談援助職の記録の書き方‐短時間で適切な内容を表現するテクニック』その5

援助職はクライアントから受けた印象を記録に残すわけですが、印象とは極めて主観的であり、共有化が難しいものです。そこで、主観的印象の根拠になった客観的事実を明確に示し「印象の根拠」を文字にして可視化するフレームとして、今回はMSE(Mental Status Examメンタルステータスエグザム)を紹介します。


目次

MSE(Mental Status Exam、メンタルステータスエグザム)を使って情報を可視化する。

MSE(Mental Status Examメンタルステータスエグザム)とは日本語にすると、精神的現症検査、となります。アメリカでは精神科あるいは神経科で広く使われている技法で、「検査」と呼ばれていますが、特殊な用具や用紙は使わず、精神科医や神経科医が通常面接時に実施する質問項目の一部(まれに全部)を使って、目の前のクライアントの状態を言語化するテクニックです。日本の援助場面では他者と情報を共有するための、現象の捉え方として使うことができます。MSEはクライアント本人の訴えによる主観的データと、援助者の観察による客観データからなります。

活用のヒント : 個別支援計画と支援記録に状態像を表すハッシュタグ ( 例. #独語 #強迫行為 #アメンチア など ) を設定しておくと、情報共有だけでなく、利用者様ごとにタグの頻出度の確認も出来ますので、状態の把握がしやすくなります。

ハッシュタグでキーワード設定をし、状態把握の一助に。

MSE(Mental Statis Exam、メンタルステータスエグザム)の項目

健康診断の項目と同じように、MSEは必要な情報を効率的かつ包括的に収集できるように構成されています。このフレームに慣れると注意すべき点を頭の中で組み立てながら面接に挑めるようになるかもしれません。全部で13項目あります。

各項目に対応するキーワード ( ハッシュタグ ) を用意し、それらをうまく活用するための運用ルールを設定した上で、感情極性評価機能を用いて辞書を鍛えていけば、より全体像や各々の感情極性動向などの把握がしやすくなります。

1.全般的な見かけ、身だしなみ

クライアントがパッと見た目どんな様子か、ということです。服装や化粧、身だしなみ、体臭や酒の匂いなども含まれます。年齢や文化的背景、社会的役割に相応した服装なり見た目かということも合わせて検討していきます。

2.身体の動き・運動機能

クライアントの動作も重要な情報です。ここでいう運動機能はもちろん、どれだけ速く走れるかということではなく、生理的な活動レベルを指しています。面接中の姿勢やジェスチャー、歩き方なども含まれます。

3.発言の量と質

話す内容よりも、その話し方や流れのほうが雄弁に本人の人となりを語るのはよくあることです。援助職がクライアントの話を聞いて問題解決に結びつける場合には、内容への対応はもちろんですが、話し方のスピードやなめらかさなど、本人のコミュニケーションのパターンから課題をくみ取る視点が必要です。

4.思考過程

思考過程とは、クライアントの思考がどのように形成され継続しているかを評価するものです。思考の流れは、発言の内容やなめらかさから測るところが大きく、クライアントが話す内容がそれぞれどのように関連しているか、仮に理屈が通っていても話の展開はどうなのか、といったことに注目します。

5.思考の内容

思考の内容を検討することで、さまざまな疾患のサインや症状をアセスメントすることができます。しかし、気分障害の症状であったり、薬物の使用や身体疾患が原因であったりすることもあるので、安易に結論づけしないようにしましょう。

6.知覚障害

知覚障害とは抹消感覚器官に問題がないのに、自分の体が受けた刺激を正常に知覚できない障害です。

7.面接時の態度

面接時にカウンセラーやワーカーに対してどのような態度を取っているか観察すると、さまざまな情報を収集することができます。
ひとつは全般的な対人関係のパターンです。人間、わずかな時間であれば自分の行動や態度をかなりコントロールできますが、時間が経てば気も緩み、その人の人となりが垣間見えることも多々あります。
もう一つは、問題意識(あるいは病識)と問題解決に対するモチベーションです。第三者から言われて無理やり来談し、ほとんど自分の話もしないクライアントの場合、問題は自分のこととは思っていないかもしれないし、こちらが提案したことを実行するとも思えません。
態度を表す用語を実際の記録に残す際には、用語選択には十分な注意が必要です。

8.感覚/意識と見当識

感覚/意識では、本人の意識レベルを問います。意識が覚醒しているか、清明か、錯乱あるいは混濁していないかを見ます。
見当識とは、時間、場所、人物、状況を正しく認識していることを言います。

9.クライアントの報告による気分

MSEにおける気分と感情・情緒の違いは、「気分」はより恒常的でクライアント自身の報告によるもの、「感情・情緒」は一時的で、援助職の観察によるものと位置づけられています。クライアントの全般的な「気分」を知ることで、さまざまな精神障害の可能性が検討できます。

10.面接者の観察による感情・情緒の内容と振幅

気分がクライアントの主観的な訴えだったのに対し、感情や情緒は援助職がそのクライアントを観察して収集する、(クライアントにとって)客観的な情報です。クライアントが訴える気分と、専門家が受け取る情報が一致しているかどうかは、支援方針を決定する上で極めて重要です。客観的情報はクライアントの表情や声のトーン、ジェスチャーなど、その気分が表現されるさまざまなサインから集めることができます。また、状態の変化になかなか気づけないクライアントに対して、専門家としての観察を記録する意味でも、クライアントの訴えと、援助職の客観的情報を分けることが有用です。
なお、これらの感情・情緒は文化的に大きく影響を受けていることは忘れてはなりません。クライアントと援助職が異なる生活環境で育ってきたことを踏まえ、援助職自身のバイアスや偏見が常にあることを意識することが望まれます。
また、感情・情緒を観察する際には、その内容だけでなく、気分の波にも注意を払う必要があります。つまり面接中に援助職とのやりとりに沿って感情が変化する時に、どの程度「揺れる」か、ということです。

11.知能

知的能力の詳細な判定は心理検査にゆだねますが、援助職とのやり取りにおいて通常にやり取りできるレベルであるかどうかを見ます。言うまでもなくクライアントの年齢を加味して判断することが求められます。

12.洞察力

洞察力とはクライアント自身が問題や状況に対して、その原因や意味を理解する能力があるかを指します。

13.判断力

MSEにおける判断力とは、自分の言動が与える影響を検討し、自身の衝動や情緒を制御する力のことです。洞察力、判断力はともに年齢に見合った機能レベルであるかを見極めることが重要です。発達心理学的には洞察力・判断力を身につけるのはティーンエイジャー以降とされており、いろいろな経験を経ながらこのような力を習得していきます。

今回は目の前のクライアントの状態を言語化し、他者と情報を共有するための捉え方として、MSEを要約しました。ここにあげた点を、ハッシュタグ等を使うことでポイントをおさえたケース記録の記入がスムーズに行うことも可能です。
次回は、こうして収集した情報から「問題を把握する方法」について要約していきたいと思います。

掲載日 : 2020年11月2日 / 更新日 : 2021年8月7日

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