就労継続支援A型のスコア方式と経営改善計画とは : 生産性向上には、日々の支援記録活用がカギとなります。
就労継続支援A型は、他の障害福祉サービスと違い、雇用契約に基づく就労の場であり、生産活動の収支や労働時間の実績が、そのまま基本報酬や事業所の指定継続に関わってきます。 この記事では、A型の基本報酬を決める「スコア方式」と、生産活動収支要件を満たせない場合に求められる「経営改善計画」について、厚生労働省の通知をもとに、日々の支援記録がどう役立つ場面があるかを整理したいと思います。
A型の基本報酬を決める「スコア方式」とは
就労継続支援A型の基本報酬は、令和3年度の報酬改定以降、7つの評価項目の合計点(スコア)によって7段階の区分に振り分けられる仕組みになっています。 評価項目には「労働時間」「生産活動」「多様な働き方」「支援力向上のための取組」「地域連携活動」「経営改善計画」「利用者の知識・能力向上」があります。
このうち、日々の記録との関わりが特に深いのは「労働時間」と「生産活動」の2項目です。 この記事ではこの2つと、生産活動が基準を満たせなかった場合に関わってくる「経営改善計画」に絞ってご紹介します。
生産活動収支要件を満たせないと、経営改善計画を求められます
指定基準では、A型事業所は「生産活動の収入から必要経費を控除した額(生産活動収支)が、利用者に支払う賃金の総額以上となるようにしなければならない」とされています。 厚生労働省の調査によると、令和5年3月末時点でこの基準を満たせていない事業所は全国で約50.7%にのぼり、決して珍しいことではありませんが、基準を満たせない場合、都道府県等から経営改善計画の提出を求められます(原則1年間の改善猶予期間)。
「生産活動収支」とは、事業所全体の収支ではなく、利用者様が行う作業(生産活動)そのものの収入から、材料費など生産活動にかかる経費を差し引いた金額のことです。
経営改善計画は、期日までに提出すればスコア上の減点(-50点)は避けられますが、提出して終わりというものではなく、その後の実行状況・改善状況も継続的に確認されます。 新規指定の事業所についても、指定から半年後を目途に実地指導が行われ、事業計画どおりの生産活動になっているかが確認されます。
生産活動の収支改善を支える、支援の質という柱
制度上の仕組みはここまでにして、実際に生産活動の収支を改善するには何が効いてくるのか、厚生労働省の報告書(「就労継続支援事業における生産活動の活性化に関する調査研究」令和6年3月)を見てみます。
この調査では、生産性向上に取り組む事業所の実践として、「利用者の適性に合った生産活動の選択」「工程の細分化・適性に合わせた作業提供」(回答事業所の8割近くが実施)などが多く挙げられていました。 調査ではこれらの取組について、「支援の基本である、個々の利用者のアセスメントに基づき、必要な個別支援を行っている事例」という指摘がなされており、個別支援計画に基づく丁寧な支援が、生産性向上・経営改善のための重要な柱の一つになっていることがうかがえます。
もちろん、販路拡大や原価管理といった経営努力も欠かせません。 ただ、日々どんな作業が得意で、どんな声かけや工程の工夫が効果的だったかという支援記録の積み重ねが、利用者様お一人おひとりに合った作業の選択・工程分解につながっていく、という側面は見過ごせません。
労働時間の記録が、スコアと賃金実績報告の基礎になります
また、スコアの「労働時間」項目は、雇用契約を結ぶ利用者の1日の平均労働時間で評価されます。 また、A型事業所は毎年4月に、前年度の賃金実績(時間額・日額・月額のいずれか)を都道府県へ報告する義務があり、その算定には利用者ごとの正確な労働時間の記録が前提になります。
ここでいう労働時間は、実際に利用者様が働いた時間の合計です。 休憩・遅刻・早退・欠勤や、健康面・生活面の相談にあてた時間は含まれませんが、有給休暇を取得した時間(時間単位取得を含む)は、賃金を支払っていれば労働時間に含めることができます。
当システムでは、QRコードを使って出勤・退勤の時刻をかんたんに記録できますので、こちらもお役立て頂ければ幸いです。 通常は、支援員様がログインしている端末での打刻を想定していますが、施設外就労などで利用者様が直接作業場所へ向かう場合は、利用者様ご自身の端末から、位置情報とともにタイムカードを打刻する運用についても対応可能です。 ご希望の場合はお問い合わせください。
生産活動の実績記録が、経営改善計画の場面で「根拠」になります
集計項目の「数値型」を使うと、完成品数や加工数といった、生産活動の実績のもとになる数値を日々記録し、グラフで推移を確認できます。 日頃からこうした実績を記録・蓄積しておくことで、実地指導の際や、万が一経営改善計画の提出を求められた際に、生産活動の実態を裏付ける記録としてすぐに参照できます。
※ 集計項目に記録した個数等の実績数値は、生産活動の実態を示す記録として、実地指導や行政への提出書類の根拠資料としてご活用いただけます。
QRコードや数値記録など、機能の詳しい使い方は
QRコードでの勤怠管理や、数値記録のグラフ化と、AIによる解析といった機能の具体的な使い方・設定方法は、「就労継続支援A型事業所の記録ソフトとして」という記事で詳しくご紹介しています。 あわせてご覧ください。
A型の経営改善には、日々、利用者様お一人おひとりに合った支援を積み重ねていくことも、大切な土台になります。 当システムでの日々の支援記録も、その積み重ねを支え、ひいては生産活動という経営の土台を支える一つの手段としてお使いいただけますと幸いです。


